Perverse second



「なぁ義人。お前マジで受けるの?」



大学のキャンパス内で、友人の上原陸が思い切り顔を歪めて聞いてきた。



「そりゃあな。もう日程も明日って決まってんだし」



「お前、内定4社も貰ってんだろ?もういいじゃねーかよー」



「何言ってんだよ。内定貰ったからって面接キャンセルしまーす、なんてできるワケねぇじゃん」



「お前みたいな欲張りヤローがいるから、俺みたいな輩が増えるんだよ。ばかやろ」



心底疎ましそうに目で訴えてくる陸は、まだ就職内定6連敗更新中だ。



それは俺のせいでもないし。



そもそも俺と被ったのだって、明日面接の1件だけ。



「お前なんて落ちてしまえ。内定ぜーんぶ取り消されちまえー」



両手をヒラヒラさせて邪念を送ってくる陸を冷ややかに見下ろして。



コイツは本当にアホだなぁ、と溜め息をついた。



「人生な、何でも義人中心に回ってないんだぞ。そのうち痛い目見ちまえっ」



「はいはい」



「義人のあほ」



この時は陸の言葉を笑って流していたんだ。



明日、俺の人生が大きく変化するなんて、思ってもみなかったから。
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