Perverse second

『本当はな、キミと津田くんの2人に行って立て直して欲しかったところなんだが。部長も課長もさすがに2人は勘弁してくれと泣きつくもんでな。だったら柴垣に是非ということになったんだ』



『まだ二年目で荷が重いだろうが、柴垣なら大丈夫だという判断だ。いい返事を期待しているよ』



営業本部長と部長は声を揃えてそう言った。



けれど俺の中で引っかかるものがあって、それをうまく消化しきれない。



要は津田さんは大阪にやれないから、代わりに俺を。



そういうこと。



そんなことは当たり前だと理解はしているんだ。



津田さんは営業のトップで、俺はまだまだ新人に毛が生えたレベル。



成績こそ2課の中では津田さんの下に付けているけれど、その差は全く縮まらない。



おまけに人望も厚くて皆が津田さんを慕っている。



もちろん俺を毛嫌いしている三崎も。



そういうこともあってなのか、俺はどうも津田さんに劣等感を抱いているみたいだ。



「俺らの中で立て直しに抜擢なんて考えられないほどの大きな仕事だよ。だけどやっぱり悩むよな」



陸は真剣な顔でそう呟く。



「なあ陸。俺さ、今まで何でもそれなりに上手くやって来たんだ。特に大きな壁にぶち当たったり、誰かを羨ましがる事なんてなかった」



「…だろうな」



「だけど今は違うんだ。上手くいかねぇことが沢山あるし、嫉妬する人だっている」



「……うん」



「たぶん俺が今のままじゃ、ずっとそれは変わらねぇと思うんだ」



何一つ自信が持てず、ずっと燻ったままのような気がする。



「義人。お前、本当は…もう答え出してんだな」



そう言って陸は少しだけ寂しそうに笑った…。

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