Perverse second
「三崎のそういう自然な表情や言葉が出ないってのが勿体ないと俺は思ってる」



これは一番大切なこと。



せっかく三崎自ら歩み寄ってきたのに、俺の感情だけで突き放せる問題じゃない。



ちゃんと真っ直ぐ三崎を捉えて。



誤解のないように、しっかり言葉にして伝えてやらないと。



こいつはまた迷走してしまうだろうから。



「でも柴垣くんは、どの私が自然かなんて…」



「お前は覚えてねぇみたいだけど、入社試験の時に俺、お前や楠原と席が近くてさ。そん時のお前はもっと自然体だった」



『知らないだろう』なんて言葉、三崎から言われたくなかった。



敢えて言葉を被せて告げた秘密。



他の誰が知らなくたって、俺だけは知っている本当のお前だ。



あの笑顔に堕ちて、ずっとずっと忘れられなくなった。



今すぐにあの笑顔を見せろというわけじゃない。



ただもう少しだけ本当の自分に自信を持ってほしいんだ。



目を丸々と見開いて驚きを隠せないような三崎は、何か言いたげに見えたけれど。



俺の言葉を聞いて妙に納得したような表情になった。
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