Perverse second
俺の前で無防備にポロポロと涙を流す三崎の上目遣いは破壊的威力。



いや、ヤバいんだって、マジで。



そんな目して俺のこと見ないでもらってもいいですかね?



これで抱きしめでもしたら、そこら辺の下心丸出し男と何ら変わらない男になってしまうので。



俺は必死に欲と戦って、何とか勝利を収めた。



「いつも完璧を装わなくても、いつも人から求められる人間になろうとしなくても、三崎は三崎のままでいいと思うぞ」



「…柴垣くん…」



「じゃねぇと本当のお前自身の意思が、いつか偽物のお前に潰されちまう」



そうだ、色欲なんかに気持ち持ってかれてどうすんだ。



大切なことを伝えるには、伝える側が真剣じゃないと伝わらないというのに。



「それにさ、お前せっかくいい同期持ってんだから」



「まさか…自分のこととか言わないよね?」



やっと止まった涙を手で拭きながら、三崎は微かに笑った。



「ばか。まぁ、それもあるけど。この前たまたま楠原と残業一緒だった時、アイツ言ってたんだ」



「楓が?」



「いつまでたってもお前がガードを外してくれないって。同意よりも反意の方が嬉しい時もあるんだって。楠原のその言葉の意味、ちゃんと考えてやれよ?」



あの時の楠原は本当に寂しそうだった。



その気持ちを三崎に分かってほしいんだ。
< 56 / 193 >

この作品をシェア

pagetop