Perverse second

頼りなさそうに眉を下げて俺を見ている三崎に、なんの表情も返してやることが出来ない。



それくらいに自分のタイミングの悪さを呪った。



聞かなければよかったのに。



知らなければよかったのに。



どうして俺はここにいて固まってしまっているんだろう。



「最近二人一緒に帰ってるって噂になってるみたいだけど。今日は俺が送ってもいいかな?」



津田さんは俺と三崎を交互に見ながら、どちらに対してなのかわからない質問を投げかけた。



けれど本当は俺に言いたいってことくらいわかってる。



三崎に対しても答えにくい質問をして、断らせないようにしてるんだろ。



そして俺に『いい』と言わせるため。



「そんなこと聞かないでくださいよ。ただ家が近所だから一緒に帰ってるだけなんですから」



「……」



津田さんはちゃんとわかってるんだ。



俺が駄目だと言えない立場にいるということを。



こう答えるしかないということを理解した上で、こんな質問の仕方をしている。



ずりぃ。



「俺も噂を耳にして、そうじゃないかとは思ったんだけど。そっか、なんかごめんな」



ニッコリ笑って明るくそう言われてしまうと、もうどうしようもない。



黙って津田さんと視線を交わしていると、三崎はパパっとデスク上のスマホと手帳をバッグに詰めて。



「じゃ柴垣くん、お疲れ様でした」



早くこの場から去りたいかのように早口でそう言うと、俺の横をすり抜けてフロアを出ていった。

< 67 / 193 >

この作品をシェア

pagetop