Perverse second
頼りなさそうに眉を下げて俺を見ている三崎に、なんの表情も返してやることが出来ない。
それくらいに自分のタイミングの悪さを呪った。
聞かなければよかったのに。
知らなければよかったのに。
どうして俺はここにいて固まってしまっているんだろう。
「最近二人一緒に帰ってるって噂になってるみたいだけど。今日は俺が送ってもいいかな?」
津田さんは俺と三崎を交互に見ながら、どちらに対してなのかわからない質問を投げかけた。
けれど本当は俺に言いたいってことくらいわかってる。
三崎に対しても答えにくい質問をして、断らせないようにしてるんだろ。
そして俺に『いい』と言わせるため。
「そんなこと聞かないでくださいよ。ただ家が近所だから一緒に帰ってるだけなんですから」
「……」
津田さんはちゃんとわかってるんだ。
俺が駄目だと言えない立場にいるということを。
こう答えるしかないということを理解した上で、こんな質問の仕方をしている。
ずりぃ。
「俺も噂を耳にして、そうじゃないかとは思ったんだけど。そっか、なんかごめんな」
ニッコリ笑って明るくそう言われてしまうと、もうどうしようもない。
黙って津田さんと視線を交わしていると、三崎はパパっとデスク上のスマホと手帳をバッグに詰めて。
「じゃ柴垣くん、お疲れ様でした」
早くこの場から去りたいかのように早口でそう言うと、俺の横をすり抜けてフロアを出ていった。