短かき物語
今は亡き村
私はぶらぶらと歩いていた。
そんな中で、小さな村を見つけた。
今日はそこに泊まろうとして近づいて見ると、どこもかしこも、空き地で人はおろか、犬や猫もいなかった。つぶれた村かと思っていると、おばぁさんが近づいて来た。
そのおばぁさんは、千恵子というらしい。ちえと呼んでと言われたのでそうする。そうするとおばぁさ…ちえさんが旅人さんなら、早くこの村を出た方がいいよ。昔、それはそれは恐ろしい事があったのさ。近くの村まで案内するからその道中で話そうか。
そういって案内してくれた。私は、ありがとうというと、ちえさんはにっこりと笑ってくれた

これはね、今は亡きこの村の話さ。
みんな仲良く暮らしていてね。その中に、ひときわ美人で可愛い子がいたのさ。その子を零華といったんだけどね、なんせ飛び抜けて可愛い子だったから、みんな嫉妬してよく虐めていたんだ。その子はうんともすんとも言わずにただ耐えていたんだ。私はね、虐めるのはよくないと知ってはいたけど、止めたら私にもふりかかると思って、虐めてたのさ。とても悪いことをした。男の子がいてね。その子が夜遅くに起きると、零華が山に向かって歩いていたらしい。
そんな事がほぼ毎日のように続いたから、この話で虐めてやろう。と思ったらしくてね。零華の後を追ってったんだ。そうしたら、山の中に小さな小屋があったらしくて、零華はその中に入ってったらしい。窓が少し空いていて、その中が少しだけ見えた。中には、自分達よりも幾分か歳が上で、背の高い人がいたそうで。その男の子曰く、至る所に包帯を巻いていて、白っぽい服に赤い血がこびり付いていたそうな。そんな人を零華は見ると、いつもじゃ見られない可愛らしい笑顔で、その人の近くに行って、その人の横に座って話していたそうでね。零華がこの村の外に出たいと、言ったそうで。
この村の風習なんだけどね、30歳を超えないと外に出られないのさ。無理に外に出ようとすると、村の外にいる銃を持った人達に囲まれて、牢獄へ入れられて、そのまま死刑になるか、その場で撃たれるかするのさ。30歳の理由がね、
この村と外は全く違くて、風習とかも外から見ると恐ろしいものだろ?だから、秘密がばれないようにするためさ。
零華はまだ16歳だから、出れるはずもない。
でも、その人と零華は指切りまでして、約束したそうな。その後に、零華は綺麗な髪飾りを貰っていたそうで。とても喜んでいたらしい。

それを見てしまった男の子は、村の人には教えずに、黙っていたのさ。何故かって?それは、見ているときに、その人に見られたから。その目には、少なからず殺気がこもっていたらしいそれが怖すぎて話せなかったのさ。
時間は過ぎて、みんながこの村の高校を卒業した。高校といっても、木造で小さい一階しかないけどね。その夜だった。
外の人達が話していたんだ。誰かが脱走しと。
もちろん、外には銃を持った人がいて、その人たちは、撃っても音が消える銃にカスタムしていてね、山の所々で光っていたさ。それで、たまたま、日課のようにその山に来ていたのがそのさっきの男の子でね。みんなあっちゃんって呼んでたんだけど。そのあっちゃんが、銃撃しているところを見ちまったのさ。みんな見たことのない大きな銃を持っててね、自分に当たりそうで足が怯えていたら、その人達が走って奥に行ったらしい。そこで逃げればよかったのにあっちゃんは追ってって、そしたら、何人もの銃を持った人が血を流して倒れていてね。
吐き気がするぐらいに多かったらしい。そしてその仲間の人々は首に手を当てて、一言、死んでる。と言ったらしいんだ。
どれも斬り傷で深かった。その時に、あっちゃん、ばれちゃって。銃口が向けられた時に、
影が一瞬見えたと思ったら、その人達が血を流して倒れちゃって、死んじゃったらしい。その斬った人は、あっちゃんに向かって、人差し指を立てて、このことは誰にも言ってはいけないと言って行ってしまったらしいのさ。
その後にあっちゃんがすぐ山を降りたからその後のことは知らないけど、次々にこの夜の後、村人が斬殺されたから、きっとあの夜に死んじゃったんだろうね。みんな小さな塚を作って供養しようとしたんだが無駄じゃった。
そして、全員死んでしまったんじゃ。
私は、その時あっちゃんから聞いてから引っ越してしまったから、免れた。

でも、気をつけるんだよ。いいね?旅人さん。

そんな話をされて、近くの村までついた。私はわかりました。ありがとうございました。と言って、前に振り返ろうとしたら、ちえさんが包丁を持って、私を刺そうとした。あの時は本当に焦った。
でも、そのちえさんは、後ろから刺されて、そこに血を流して、驚いたような目つきで倒れた

あぁそうさ。確かにその話は真実さ。

でも、村人を全員殺したのは君だったんだね。
零華は生きてるよ。もう20歳になって元気に過ごしてるさ。うん。その人とずっといるよ。
なんで知ってるかって?

だってほら、さっきちえさんを殺したのは。

彼なんだから。
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