短かき物語
幼き少女の物語
ある所に、小さな小さな村がありました。
その村は、レカラテ村と言いました。この村は人があまりいないため、国からの視察や他の街や、村なら懇談をするのですが、この村は誰も来ませんでした。そんな村に、生まれつき左目が見えない少女がいました。その子は、同世代の子供達から、沢山のいじめを受けていました少女には、夢がありました。それは、バイオリンニストになる事でした。昔から習い事としてやっていましたが、とても綺麗な音色で誰もが魅了されてしまうかのような素晴らしい演奏をしました。ですが、バイオリンは、高価なもので、家族に捨てられた少女には、とうてい買える代物ではありません。次の発表会での景品がバイオリンでした。少女は必死に練習しましたが、左目が見えないために楽譜が読みづらく一番難しいところが分からずにいました。時は待ってはくれず、発表会の時が来ました。少女はいつものように素晴らしい演奏をしましたが、難しいところで少し、ほんの少し間違えてしまいました。そして、結果は案の定優勝できず、入賞もできませんでした。これは、他の審査員が言った事ですが、少女は障害者だから、貧しいからどんな演奏であれ賞には入れないと決めていたらしいのです。少女は酷く落ち込みました。とぼとぼと小屋に帰る坂道を登って行きます。小さな小屋に着くと、何故か灯りがついています。恐る恐るのぞいて見ると、そこには大柄な男がいました。その男は少女を見るなり、少女が大切に保管しておいた少ないお金を見せつけ、なんと少女の胸ぐらを掴み、腹に一発なぐり、足を思い切り蹴り、そして殴りました。男は笑いながら出て行きました。少女は痛いのと悲しいのと悔しい気持ちで一杯でした。小屋の中は荒れ果てていました。少女は、もうこんな村は嫌だと、この村を出て行く決心をしました。そして朝に小屋を出ました。でも、歩いても歩いても、森ばかり。とうとう疲れきってしまいました。そんな時に、綺麗なピンク色の花を咲かせる木を見つけました。ですが、昨日殴られ、蹴られた体はもういうことをききませんでも、それでもその木に見せられた少女は、最後の力を振り絞るかのごとく、木の根元まで行きました。少女はそこに座ると、その木の上から綺麗なバイオリンが落ちて来ました。少女は痛みを忘れてひたすらに楽しく弾き続けました

その3日後見つからない少女を探していた村の人々は桜の木の下で冷たくなっている少女を見つけました。そこにはバイオリンなどなく、ただの木の枝が落ちていただけでした。村人達はその姿を見て、自分たちはいじめていた。酷いことをしてしまったと、そこに花を置き、小さなお墓を建てたそうです。
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