その先へ
「要するにだ。お前は責任を持ちたくないんだな。彼女にも自分にも」
「そんなことっ」
「ないって言えるのか?本当に言えるか?」
「......」
「彼女の未来、将来できる家族、それらを支える、守っていくっていう覚悟と責任感がない。今が良ければそれでいいって、お前それじゃガキと一緒だぞ。親御さんが別れたときの中学生のガキのまんま、お前は止まってるんだよ」


言い返せないオレ。その通りかもしれない。


「それにな。恋人は、あくまでも、他人だ」
「他人...?」
「そう、ただの他人。身内以上に繋がってるはずなのにだ」


上川さんの言っている意味がよくわからなかった。



「うちの嫁、結婚前にな、交通事故にあったんだ」
「えっ?」
「けっこう頭打って、一時意識不明の重体だって言われた。あっ、今は全然、後遺症もなく元気なんだけどな」


そう言われホッと息を吐いた。
元気そうな奥さんにそんなことがあったんだ。








< 31 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop