極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
まもなく定時になるという頃、後方のドアから高梨さんが入って来た。


初めて見る会社での彼の姿を、息をするのも忘れて見つめる。
優雅でスマートで、それでいて何て威厳があるのだろう。


私の近くを通り過ぎた横顔はすぐに後ろ姿になり、ホールの正面へと遠ざかっていった。


この会議は株主総会に先がけ、先期の業績の詳細と今後の戦略を周知徹底するものだ。
壇上に上がった高梨さんは場内の視線を一身に浴びながら、淀みなく議題を進めていく。

出席者は真剣な面持ちで話に合わせ手元資料を繰っていて、水を打ったように静かな会場には紙の音と彼の声だけが響いている。


メモを取る手を止め、壇上の彼を見つめた。



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