極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
彼は大企業の頂点に立つべき人。
社長の息子だからということではなく、天賦の能力に加え、自分の置かれた立場への冷静な判断力と覚悟、そして人知れない努力の積み重ねで到達したものだと思う。


尊敬の念や誇らしさと同時に、胸に強い苦しさが込み上げる。
これまでずっと見て見ぬふりをしてきた事実は、壇上の彼を見つめる私の胸を否定できない確かさで揺さぶった。


だからって、どうして涙で目がかすむのだろう?
その理由はわかっていた。


好きになってはいけない、私には遠い人だから。


いつの間にか惹かれていた。
それでもずっと抵抗し続けてきた自分の気持ちが、手が届かない人だと思い知った瞬間にごまかしようがなくなった。


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