極甘同居～クールな御曹司に独占されました～

和久井梨乃が押し掛けてきた時に感じた痛みがちくりと胸を刺した。

彼と彼女の縁談が進んでしまうのは耐えられない。
かといって破談になってしまったら、もう一緒にいる理由がなくなってしまう。

でも結局、そのどちらかがいずれやってくるのだ。

自分の気持ちを認めてしまった今は、想像するだけで耐えられそうになかった。


私はどうするべきなのだろう？
高梨さんが私に気持ちを向けてくれるのを期待して頑張るべきか、傷の浅いうちに自分の気持ちに整理をつけるか……。


考え込んでいると、有香が、まさにその話題を出してきた。


「あのね、高梨さんが政略結婚を回避したい本当の理由、聞いたのよ」


「えっ？」


ぐっと心臓を掴まれたような感覚と、悪い予感が走った。