極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
抱き上げられたまま彼と見つめ合った。
いいかと問いかけるような彼の目は優しさの中に欲望が揺らめいている。


先のことなんてわからない。
仕事とバランスを取れない自分も、彼に元恋人との復縁の噂があることも、彼と私の住む世界を隔てる埋められない距離すらも、この瞬間の私には重要ではなかった。

未来の見えない恋だとわかっていても、今ここにある恋の手触りが消えてしまう前に、ただ彼のものになりたかった。


素直に身を寄せ、黙ってそっと彼の首に腕を回した。
言葉は要らなかった。


腰を痛めて抱き上げられた時、首に手を回すのにも内心毒づいたり大慌てだった私が、数か月後にこんな風になるなんて、あの時には想像もできなかった。


私が首につかまると、高梨さんは少し苦しそうに微笑んで額にキスをし、寝室へと私を運んだ。




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