極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「あの、腰を痛めてしまったみたいで……すみません……」


見つけてもらえた安堵と痛みで、私は完全に泣いていた。
作業着姿で腹ばいになって泣いているなんて恥ずかしすぎるのに、涙が止まらない。


「立てないんですね。とりあえず身体を動かしますよ」


後から思えば、このなめらかな低い声はどこかで聞き覚えがあるなと一瞬思ったのだけど、この時の私は助かった安堵感の方がはるかに大きくて、深く記憶をたどる余裕はなかった。


「痛いかもしれませんが、我慢してください」


「い……たっ」


仰向けに返され、思わず声が漏れる。
相手の動きが一瞬止まったので、私は痛みでぎゅっと瞑っていた目を開けた。


(えっ……?)


駐輪場の蛍光灯の明かりを反射しながらさらりと落ちる黒髪、奥二重の眼差し。
私の上に屈みこむその若い男性の顏を見た私は、次の瞬間、心の中で悲鳴を上げていた。


爽やかに微笑んでいた社内報の顔写真や蕎麦屋での彼と表情は違っても、それは紛れもなく高梨則人だったのだ。


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