極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「あの……、何処へ?」


助けて下さいと叫んだ私がこんなことを聞くのも甚だ失礼と思いつつ、彼が事務棟ではなく敷地の出口へと進み始めたので、私は不安になった。


「この時間に医務室は開いてない」


確かにその通りだ。申し訳なくて、体重が軽くなるわけでもないのに息を止めて小さくなる。

でも、気が動転していると思考回路がおかしくなるらしい。
〝重くてごめんなさい〟の代わりに口から出てきたのは、自分でも呆れる質問だった。


「あの、私の自転車は?」


横倒しになったまま取り残された愛車が急に不憫になったのだ。

彼は立ち止まり、いよいよ呆れた顔で私を見下ろした。
こんなに整った顔をこんなに近くで見ることは後にも先にもないだろうなと、縮み上がりながら考えた。


「五十キロの荷物を抱えたうえに、自転車も担げと?」


「……すみません」


彼に抱えられながらいよいよ小さくなる。
どうして私の口は、バカなことしか言わないのだろう。

それより体重をズバリ言い当てられたのが地味にショックだ。


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