極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
高梨さんはしばらく私の顔を眺めたあと、意地の悪い表情を浮かべてフンと軽く笑った。


「一人暮らしだろう」


「何で知っ……」


この質問は墓穴かもしれないと気づき、私の口が止まった。


何で知ってるかって?


この数週間、ずっかり忘れていたあの蕎麦屋での自分の発言が突然脳内で再生された。
確か、一人暮らしの金欠について話題に上っていた気がする。
ついでに〝安月給だから〟などという会社への不満めいた台詞も。


いや。きっと私がたった今〝アパート〟と言ったから察しただけだ。
それにあの時はしっかりメークした上にお洒落してスカートも穿いていたけれど、今は眉のないノーメークに作業着姿だ。
絶対にばれるはずはない。

そう、絶対に……。


私が冷や汗をかきながら念じている間に、いつのまにか車は彼の指示した目的地へと夜の街を走り始めていた。

中島さんも私が腰を痛めているなら致し方ないということなのだろう、私を一人で高梨氏のマンションに泊まらせることに意見を差し挟んでくれる様子はない。



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