極甘同居～クールな御曹司に独占されました～

「イヤーッ！」


「落ち着け」


肩を大きな手で掴まれた私はうずくまって必死に抵抗した。


「高梨だ」


「誰か……え？」


「どうした、大丈夫か？」


固く瞑っていた瞼を開けると、高梨さんが真剣な顔で私を覗き込んでいた。
まだ状況が掴めない私はしばらく高梨さんの顔を眺めたあと、とんでもなく失礼な質問をしてしまった。


「まさか……痴漢って、高梨さん？」


「何だって？」


「最近ここら辺に出てて……」


心配そうだった高梨さんの顔が途端に呆れ顔になった。
当然だ。高梨さんのわけがない。


「すみません……」


「もう腰はいいのか？」


さきほどのはずみで倒れた自転車を起こしながら高梨さんが尋ねた。


「はい。お陰様ですっかり……」


お世話になっておきながら黙って逃げ出したので、私は後ろめたくてうつむいた。