結婚しても恋をする
「……あ、生理来た……」
水を流しトイレから出ると、洗面所でワンピースを放るように脱ぎ捨て、即座に部屋着を被った。
──生理が来る度、何処かで安堵している自分を知っていた。
結局は、子どもを欲しいと思えていない。
親になる覚悟がないと気付いたのが先か、夫婦関係が悪くなったのが先か、わからない。
挙句、他の男性の一挙一動に一喜一憂している己が馬鹿馬鹿しく、全くもって良い嫁になれない自分への罪悪感にも潰されそうだ。
流れで腰を屈めて洗濯物をネットに詰め始めると、心を掠めた事実に動きが停止し瞠目する。
「……あー……これって、マンネリってやつ……?」
零れた独り言に面食らい、暫し空間を見つめる。
洗濯機を前に、生活感にまみれたこのところの日々を脳内に思い起こした。
郷ちゃんとの毎日には、新鮮味がない。
いつもわたしにくっついてくる彼。安心して頼ってくる彼。
自分の気持ちを持て余してしまうわたしには、計り知れない相手の気持ちを受け止める余裕がなく、だから真っ直ぐな人を求めた。
振り回されるのが嫌で郷ちゃんと結婚したのに、マンネリとかドキドキしたいだとか、ほざき始めるんだ。
頭が悪いんだなと、我儘さに心底げんなりして、注ぎ入れた洗剤の雫を見ていた。