心をすくう二番目の君
瞼をきつく瞑り、早く切れてくれるよう願っていると、着信が鳴り止んだ。
ほっと力が抜け、マットレスに倒れ込むと僅かに軋んで音を立てた。
どうかしているのは、わたしの方だったのか。
最後に合わさった儚げな瞳が脳裏に蘇る。
あの時はただただ恐怖心だけに取り巻かれていたが、今思えば何か訴え掛けるような、意志を宿した眼差しに思えなくもなかった。
早鐘を打っている心音を感じながら、余計な憶測だと思い直してゆっくりと息を吐き呼吸を整えた。
結局春志と寝てしまったわたしは、この男と何ら変わらないのかもしれない。
わたしにはこの男がお似合いで、元鞘に収まって、これまでのように流されていれば楽かもしれない。
だけど、此処で一大決心を鈍らせて、引き摺られていてはわたしはいつまでも……。
「……変わりたい……」
呻くような声が絞り出されて、背を折り曲げ項垂れた。
緩くウェーブの掛かった髪が布団の上に広がる。
握り拳の上に涙が零れ落ちた。
這い蹲ってでも、前へ進むんだ。
涙を拭うこともせず、目線を上げてスマートフォンへと震える腕を伸ばした。
指先が届くと身を乗り出して引き寄せ、電源を落とした。