心をすくう二番目の君

表示された文字に愕然とした。
目を背けたい男の名が、でかでかと主張している。
紫夜の予言が的中してしまったことが信じ難く、眉根を寄せ冷や汗を流した。

『絶対に応じちゃ駄目だよ』

彼女の声が頭の奥でこだました。
この期に及んで連絡して来られるとは、神経を疑う。
創一さんは宇宙人だと過ぎらせると共に、目を見張った。

その時の心の動きは、自分でも理解出来ない。
掌の中に振動を受けていると、どういうわけか縋り付きたい衝動に襲われた。
殴られたことも、忘却の彼方に葬り去られてしまったのか。
電話を手にしていては、不用意に通話ボタンを押してしまいそうな疑念が纏わり付いた。

自らが信用出来ずに、恐ろしくなり布団の上へスマホを放り投げた。
我に返ると、肩で息を吐いていた。

< 139 / 209 >

この作品をシェア

pagetop