心をすくう二番目の君
「そうだな……なるべく馬鹿で、自分にベタ惚れの子を選んだ方が良い」
余りの言い草に、けしかけておきながら癪に障り、壁にもたせ掛けていた背中を起こした。
悪びれた風もなく煙草を燻らせる男へ滑らせた目線が、鋭く睨むようなものになってしまう。
「下手に小賢しいと、痛い目見るからな」
何か思い出したように肩を竦ませて、溜息を吐き出している。
「……どう対処するんですか?」
「そりゃあ、機嫌を取るんだよ。プレゼント贈るなりして……」
反吐が出そうな戯言を聞きながら、込み上げた腹立たしさを堪える。
「……へぇ…………要は、対処出来なくなったってわけですか」
出来得る限り気を落ち着かせて出したつもりの声は、低く怒りが滲んでいた。
「小椋さんを殴ったのは」
隣の男へ凄んで見せると、心底驚いたように絶句して、歪めた表情のまま固まっている。
「俺、見たんですよね。頬を押さえながら走って来た彼女を……」
「……な……にを……」
射場は、後退りでもしそうに身体を半身に構えた。
怯んだ男にも気を緩めることなく、厳しく眉を顰め視線を流したまま続けた。
「その後にあなたが現れました。泣いている彼女を問い詰めると『殴られた』と……」
「……違う……それは、俺じゃない」
本人の口から話してくれれば一番だったが、そこまで馬鹿ではないらしい。
余程信頼させない限りは、自供を取るのは難しいと考えてはいた。
「……お認めになったらどうですか? でないと……」