心をすくう二番目の君

学生時代の親友にだけは唯一、創一さんとの関係を打ち明けていたが、女子とは違った男性の率直な意見は、心に突き刺さる。
同性としての目線だからこそ、だ。

「……それで、今日会わないかって連絡して来るんですよ」

急にどうでも良くなって、投げやりなせせら笑いが漏れ出る。
給湯室での一件もあんまり惨めで、思い返すことすらはばかられ、話せなかった。


再度グラスの中身を含んでテーブルに置き、隣へ向き直った。

「わたし、中薗先輩の彼女さんの話、聞きたいです」
「……えー……」

居たたまれずに、話題を変えようと試みる。
声色は渋っているけれど、痛々しい話を聞いてしまった手前、強く突き放せないのだろう。

そこを狙った自分はずるいと、承知している。
早くもアルコールが行き渡り、気が大きくなって来たようだ。
カシスビアはビールの苦味に濃厚な甘さが融合して飲み易いが、何しろ酒を酒で割ったカクテルなのだ。

「だって10年も付き合ってるんですよね。長続きの秘訣を知りたい」
「……そんなの……別れなかったから10年経っただけで……」

「でも、大切じゃなかったら別れますよね?」
「…………」

投げ掛けると、フォークに刺した生ハムを持ち上げて、宙を見つめている。

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