心をすくう二番目の君

中薗さんがオニオンスライスの乗ったカルパッチョを口に運び始めたので、わたしもどれにしようかと盛り合わせをぐるりと眺め回した。

「……今日、あの人が……婚約者と思われる女性と、楽しげに歩いてました」

幾ばくか逡巡してから口を開いた。
ひよこ豆とレタスに、恨みがましくフォークを突き刺してしまう。
中薗さんは一瞬まじろいだようだが、すぐに呆れたような面立ちに変化した。

「あぁー……小椋さんに見られるかもとか、考えないんだー……」

暫し返事を練るかのように、口元へ親指を当てていた。
火がついたように食欲が増し、次々に頬張っていると、絞り出された彼の洞察に頭を殴られたようだった。

「……何て言うか……気遣いゼロなの? 幾ら浮気相手と言えど、もうちょっと……」

正論を説かれると、この関係が如何に創一さんの手中に収められているのか実感してしまう。
改めて下に見られていると思い知らされて、身体に鉛でも伸し掛ったかのようだ。
動けずにカウンターの淵を見つめていると、察して謝罪して来た。

「……ごめん」

謝られると余計に傷付く。
しかし同時に、こんな馬鹿げた恋愛からは足を洗わなくてはいけないと痛感した。

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