心をすくう二番目の君
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頭上に舞い散った花びらに、今年もそろそろ終わりだと巡らせた。
花金の終業後、事業所総出で桜の見物もそこそこに宴会が執り行われている。
「射場《いば》係長ったら~そんな誰にでも紳士的だったら、婚約者さんが心配しちゃいますよぉ」
よく通る甲高い声が唐突に耳に届き、びくりと肩を揺らした。
そろりと振り返ると、第1施工部の見慣れた面々が身振り手振りを交え、賑やかしていた。
「彼女はそんな器の小さい女じゃないよ」
「のろけですかぁ~ちゃんと本人に言ってあげて下さいね、それー」
然程長く見つめていたつもりはない。
射場係長の凛々しい眉の下から、まさに射るような視線が送られると、咄嗟に顔を俯けてしまった。
誰かに狼狽が伝わってしまうのではないかと、脂汗が流れる。
どうもバツが悪く、ビール瓶を引っ掴んで立ち上がった。
既に出来上がりつつある年配の男性陣の笑い声が響く中、新参者であるわたしは新たな仲間達に本日2度目のお酌に回る。
「俺、もう良いです」
紙コップに掌を乗せて、遮られてしまう。