心をすくう二番目の君
「……これだけ長く付き合うと家族みたいになって来ててさ、俺が支えられるんだったら、とも思ってたけど……。その頃は一級の勉強にも追われてたし、俺もキツくてさ。もう限界だって伝えたら、『春志が居るから生きていられるのに』って言うんだよ」
聞いているだけのわたしがきついのだから、中薗さんの圧迫感に至っては想像に難くない。
不意に花見の日が思い起こされる。
そんなやり切れなさを抱えていたとは、微塵も感じさせなかった。
「……引いた?」
瞼を歪め、首を横に振った。
何と返して良いのか、適切な言葉が見つからなかった。
「……それで……今でも寧実さんを、支えているんですね……」
考えた上でそれだけ口にすると、切なげな微笑を浮かべる。
「……せめて、お母さんの容態が落ち着くまでは……って、思ってる……」
この人の醸す儚い雰囲気の発端を見た気がした。
嘘を言っているようには到底、思えなかった。
だけど、いきさつを聞かされても、漠然とした胸の騒めきが払拭されたとは感じなかった。