心をすくう二番目の君
ゆっくりと囁かに頷くと、彼は繋いだ手に力を篭めて瞼を伏せた。
「一度は別れるって、言ったんだ」
言葉を選びながら、ぽつぽつと口にする。
「……彼女の……寧実のお母さんに病気が見つかって、入院してから……変わってしまった」
思いもよらない容赦ない現実に、目を見開いた。
わたしの知らないふたりが背負う痛みが、重く胸を刺す。
「……それまでは我儘なところもあったけど、明るい子だったんだ」
定期的に奥の方から響く、地下鉄の駅アナウンスが微かに耳を掠める。
彼は逡巡しながら、丁寧に続きを繋いだ。
「お母さんが居なくなるかもって不安で……参ってしまったんだろうな。姉妹のように仲良くて……心の拠り所だったんだと思う。連絡の頻度が増えて……突然呼び出されるような日も少なくなかった」
記憶を辿るように遠くを見つめ、唾を飲んだのが解った。