against
「なんだよ、聞いてやろうと思ったのに」

くどい男は嫌いだ。

「あのね、悩みなんて人に話す時点で解決してんだよ。 聞いてもらって解決することなんて悩みじゃない、ただ同情や同意が欲しいだけ」

俊也には悪いけれど、本当にそう思うんだもん。

押し黙ってしまった俊也にトドメを刺した。

「あんたもそうじゃない?」

ほ〜んっとに、私って嫌な奴。人の心を探るような。下手なカマかけて。

自分がされて嫌な事は他人にしないが私のモットーなのに。

そうさせてしまう君の魅力。

魅力?違う、きっと横顔。

あの時のように、いや、あの時よりも悲しく壊れていく気がしたから。

太陽が落ちると明かりのないこの場所は、一気に暗くなってしまうから。

私のことなんてどうでもいいよ。


< 109 / 163 >

この作品をシェア

pagetop