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落ちていく太陽のオレンジ色が目に染みる。

来た道をトボトボと戻ってくと、あっという間に駅に着いた。

何だか歩ける気がした。

二駅分、無理かな。

二駅といっても、その間は結構な距離がある。奈津美の家がある住宅街をぬければ、たんぼが広がっていて、線路に沿うように車道がどこまでも繋がっていた。

山を切り開いたような、果てしない真っすぐな道を見て、戸惑ったものの、疲れたらそこで電車にでもバスにでも乗ればいい。そう思い、一度止めた足を再び動かした。

今は一人、誰もいない道を歩いていたかった。

角度があるのかないのか、わからない程の緩やかな坂道。

歩道のない、車だけの道。

ガードレールに寄り添いつつも、白い粉が制服に付かないかと少し距離をおく。

死にたくもないし、制服も汚したくない。

人間なんて勝手なもので、本当に身の危険を感じるまでは、見た目や明日のこと、本当にどうでもいい事を優先してしまう。

幸い、まだ車が通らない。

握りしめたままの携帯電話をさらに強く握りしめ、一歩一歩力を込めて歩いていく。


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