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――そういえば……。

そうだ、綾菜が前に言っていた。俊也がどっかの部活のキャプテンだって。

バスケ部だったのか。

キャプテンにしては放課後も休日もフラフラしている気がする。それに……使われていないであろうこの部室。

何なんだろう。

それにあの態度。振り向きもせずに行ってしまうなんて。変なの。何かあるって言っているようなものだ。

それが俊也をヒトリにさせ真顔にさせる原因なのか。それすら私にはわからなかった。

アイツは私をわかってくれている気がしたから、私だってアイツをわかっている気がしていた。

よく考えてみればちっともわからない。



その日の放課後、気になってあの場所で暗くなるまで俊也を待っていたけれど、現れる事はなかった。

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