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昼休みは図書室で過ごしていた。誰かがめくるページに合わせるかのように自分も静かにページをめくる。

最近の日課となりつつある。

お弁当は屋上へ行ける階段の踊り場。昼休みに入ってすぐはわりと人気がないからだ。もっとも食事を終えた生徒が来ることもあるので素早く食べなければならないのだけれど。

俊也は毎日同じ場所はやめろと言っていたけれど、結局はこのパターンが楽でこうなってしまっている。

図書室の扉を開けるのも馴れたものだ。

静かに図書室を出て、平然と教室に戻り席につこうとした時だった。

「ねぇ、涼子」

クラスの女子、三人組の中の一人が私に話しかけてきたのだ。

以前はクラスの女子なら平等にいい距離感で付き合っていたはずだから、話しかけられたところで何とも思わない。

しかし今の状況だ。思わず「え、」ってなった顔を「うん?」と言うような顔に作り変えて振り向くと、その女子は笑顔でこちらを見ながら続けた。

「綾菜ってできちゃったの?」

その言葉は私の頭に落雷でもあったかのように、痛烈に突き刺さるものがあったんだ。



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