外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
とはいえ……。
お互いに入浴を済ませた後、私の話を聞き終えて、奏介は厳しく険しい表情を浮かべた。


「七瀬、話は理解した。それで、今のところ君に実害がないというのは、絶対に本当だな?」


ソファに並んで座り、横から覗き込んでくる真摯な瞳に、私の胸はドキッと音を立てて騒ぐ。
さっきまで、煩悩に苛まれていた人とは思えない。


「うん。私はその人を見たことがないの。受付の同僚から、訪ねてきた人がいるって聞いただけで……」


奏介の同僚から結婚祝いにいただいた、高級な白ワインを開けていた。
細くしなやかなシルエットのワイングラスを手に、私は奏介にそう返事をした。
それには彼もホッとした様子で、息をついて応える。


「四十代前半くらいのサラリーマン……? オフィス街じゃ埋もれてしまって、人物特定に結びつく特徴にはならないな……」


奏介は眉間に皺を刻み、テーブルにグラスを戻した。
長い足を組み上げ、胸の前で腕組みをして、難しい顔で思案する。


私も殊勝な気分になって、奏介に倣ってグラスを置いた。
両手を膝につき、肩に力を込める。


「今日、私の同期が対応したの。彼女の勘なんだけど、私に会うのが目的じゃないんじゃないかって」


奏介の横顔を見つめながら告げると、彼も「ああ」と頷いた。
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