外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
私は一瞬なにを言われたのかわからず、意地悪に口角を上げた奏介に返した声は、一拍遅れた。
奏介は私を上目遣いで見つめたまま、腰に回した腕をススッと前に滑らせてくる。


「昔から、女の着物は、貞操を守るという意味合いがある。脱がすのも結構難儀だが、着せ方を工夫しておけば、それほどでもなくてね」


なんだかギョッとすることをいけしゃあしゃあと言いのけ、気付いたら帯締があっさりと解かれていた。
背中の帯が崩れたようで、下を向くと、帯が垂れ下がっているのが見える。


「え、ええっ……!?」


驚くべき器用さで、奏介は宣言した通り、難なく帯を解いていく。


「ちょっ……奏介! なんで脱がしてるの!?」


胸元で結んである帯揚げと帯枕の紐を引こうとする奏介の手に、私は手を重ねて止めた。
止められたのが不満なのか、奏介がジトッとした目で見上げてくる。


「なぜ止める?」

「じゅ、十分しかいられないんでしょ」


こういう時になると、なぜか奏介と話が噛み合わなくなる。
地味に焦りながら重ねた手をギュッと握り締めると、奏介はつっと横に視線を逃がし、「はああ」となんとも深い溜め息をついた。


「脱がせたところで時間切れか……」


消え入るような声で呟き、忌々しげな舌打ちをする。
それでも、理解してくれたことにホッとして、私は大きく胸を撫で下ろした。
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