外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「え?」


勢い込んで畳みかけた途端、出鼻を挫くようにあっさりと遮られてしまう。
私は言葉に詰まり、瞬きを繰り返した。
喉を仰け反らせて見上げていた奏介が、目を細めてクスッと笑った。


「おいで、七瀬。あと十分くらいは一緒にいられる」


誘うように両腕を広げ、私の反応を探る奏介に、思わずコクッと喉を鳴らしてしまった。
惚けたまま、話題を擦り返られたのはわかる。
私はムッとしていいはずなのに、素直に奏介の前に足を踏み出してしまった。


「奏介」


彼の首の後ろに両腕を回し、クッと力を込める。
奏介も私の腰を引き寄せてくれる。
私たちは、ぎゅうっと抱きしめ合った。


彼のサラッとした焦げ茶色の髪に、私はそっと頬ずりした。
それに応えるように、奏介は私の胸に頬を擦りつけてくる、けれど……。


「奏介、くすぐったい」

「……固い」


奏介が、私の胸元で、くぐもって聞き取り辛い声で不満げに呟く。
それには私も思わず吹き出し、腕の力を抜いた。
顎を引いて見下ろすと、奏介は憂い顔をしている。


「着物だもん。何枚も着込んでるんだし、しょうがないじゃない。……って、奏介が着せてくれたのに」


くすくす笑いながら言うと、奏介は目線を上げた。
なにか企んでいるように、ニヤッと表情を歪める。


「そう、俺が着せた。脱がせる時、楽なように」

「……えっ!?」
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