外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
私は藤悟さんがニヤリと笑うのを見て、目を白黒させる。


「大丈夫だよ。いくら俺でも、奏介の妻相手に悪さしたりはしないから」


顎を撫でながら細めた目で見据えられ、この人がどこまで本気で言っているのか測れず惑う。
そもそも、『いくら俺でも』の意味をどう捉えろと……?


「え、と……」


どう言って断るのが正解か。
私は戸惑いながら口を開いた。
その時。


「だったら最初から俺が教える。兄貴のご厚意は不要だ」


視界の端で襖が開いたかと思うと、低く冷たい声が私の耳に届いた。
ハッとして顔を上げると、襖の前に若葉色の着物に袴姿の奏介が立っていた。
どこか不機嫌に眉を寄せ、後ろ手に襖を閉める奏介の姿に、私の胸が大きく跳ね上がり、ひっくり返った音を立てる。


「そ、奏介!」


呼びかけた声も、つい上擦ってしまう。
だって、恋人期間が短すぎたせいで、温泉旅行すら一緒に行ったことがないから、浴衣姿だって見たことがない。
奏介の和服姿を見たのは正真正銘、これが初めてだった。


そしてもちろん、私はそのあまりの麗しさに見惚れてしまい、感動で言葉も出ない。
けれど、藤悟さんには大したことでもないのか、これっぽっちも動揺はない。
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