外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
振り返った途端、奏介の顔が迫ってくるのがわかり、『なに?』と聞き返そうとした声は出せなかった。
膝立ちの状態で私の方に身を乗り出してきた奏介が、私の唇をしっとりと塞ぎ込む。


「んっ……」


反射的に、くぐもった声が漏れてしまった。
私の目の前で、奏介が男の人にしては長い睫毛を伏せている。


軽く唇を啄まれる感触に、背筋にゾクゾクと痺れが走る。
身体から力が抜け落ちそうになり、私はとっさに彼の胸元を握りしめた。


「そう、すけっ……! だ、ダメ」


わずかに唇が離れた隙に、私はなんとかそう声をあげた。
けれど、すぐに彼の唇にのみ込まれてしまう。


「奏介の実家なのに、こんな、ことっ……」

「心配するな。誰も来やしない」


キスで呼吸を乱す私とは対照的に、仕掛けてくる奏介の方は余裕綽々な物言いだ。
ここが彼の実家で、私にはまだまだアウェイな空間というせいもあるけれど、ついさっきだって藤悟さんが来たばかり。
もし誰かに見られたら、と思うと、私の胸の鼓動は早鐘のように打ち鳴り、緊張ばかり強めてしまう。
そして、私が奏介に抗えずにいるうちに、まさに最悪の予感が的中してしまった。


「七瀬さん、失礼します。奥様から着付けを頼まれたのですが」


そんな声が聞こえたかと思うと、ほとんど同時に襖がスッと開いた。
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