外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
その後――。
奏介を部屋から追い出し、お弟子さんを招き入れて、丁重に謝罪をして着付けをお願いした。


お弟子さんはほんのちょっと苦笑い気味ではあったけれど、快く応じてくれた。
とは言え、お互いにあまりにも気まずい。
至近距離での作業だし、私もお弟子さんも終始目線を逸らしたまま。
二十分ほどの着付けの時間、ずっと無言で気詰まりだった。


奏介は着付けが終わるまで廊下で待ってくれていたようで、そそくさと伏し目がちに出て行ったお弟子さんと入れ替わりで、再び部屋に入ってきた。


「俺が着せてやってもよかったのにな」


まだそんなことを言いながら、彼は優雅な所作で襖を閉める。
トン、と音が鳴るのを確認してからゆっくりと私に目線を上げた。


「ど、どう? 変じゃない?」


お義母さんがプレゼントしてくれたのは、もちろん留袖。
振袖しか着たことのない私は、自分でもちょっと違和感があって、着物を見る目は絶対に確かな奏介に感想を求めた。


全身を見てもらうために、両腕を横に広げて伸ばし、くるっと一回転して見せる。
ちょっと足元がもたつきながらも、再び正面向いてピタリと止まり、そっと上目遣いに奏介を窺う。
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