外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
そして。


「……? 奏介? なんで見てくれないの」


彼は口を手で覆い、私から完全に顔を背けていた。
そこまで似合わないんだろうか。
さすがに彼のそんな仕草に傷ついて、私はしゅんとしながら自分の姿を見下ろす。


「マズい」

「えっ?」


しかも続いた短い一言で、頭の中に『ガーン』と鈍い音が響いたような気がした。


「そんな、ひど……」

「ただでさえ昨夜お預けを食らってるというのに。君は俺をこの場で悶え死にさせたいのか」

「……え」


よく見ると、奏介の目の下がほんのりと赤く染まっていた。
口を隠したまま、お腹の底から『はあああ』と深い息を吐く奏介にきょとんとしてから、ドキドキと弾んだ音を立てる胸にそっと手を置く。


「え、と……」


まだ私から顔を背けている奏介に、ぎこちなく訊ねかけた。


「……似合う、って言ってくれてる?」


ちょっと照れくさいけれど、自分から彼の答えを促してみる。
それに奏介は一度大きく頷いてくれた。


くすぐったいような恥ずかしいような。
ほんのちょっと焦れた気分で、私は目を泳がせてしまった。


「弁護士さんなんだから、ちゃんと言葉で誉めてくれればいいのに」
< 30 / 226 >

この作品をシェア

pagetop