外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「やはり結婚式、先に挙げたかったな。七瀬のウェディングドレス姿を見る日が待ち遠しい」

「っ」


思わず返事に窮してしまったのは、奏介が口にしたのが、この結婚でほんのちょっと不満が残っていた部分だったから。


同居と入籍に合わせることができず、結婚式を延期したのは、奏介の仕事が忙しくなってしまったのが原因だ。
結婚式をしないと言われたわけじゃない。
落ち着いてからゆっくり決めて執り行おうと言ってくれたし、仕方なかったから文句は言わなかったけれど、やっぱり先に挙式をしたかった。


結婚式への憧れって、女性ならではのものだと思うし、奏介はそれほど気にしていないと思っていた。
でも、同じ気持ちを抱いていくれていたと知って、ジーンとしてしまった。


「……奏介、私も」


小股で楚々と奏介に歩み寄り、彼の胸にそっと手を置いた。
奏介が顎を引いて私を見下ろしているのを感じて、ほんのちょっと身を寄せる。


「私の隣で白いタキシードを着た奏介を見つめるのが、すごく楽しみ」


それを聞いて、彼もわずかに苦笑を漏らす。


「白いタキシードなんか、俺も着たことがない。自分でも想像つかないな」

「それを言ったら、私だってウェディングドレスなんか着たことない」
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