外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
彼が脇目も振らずに向かう先は、私たちの寝室だ。
十畳ほどの広さの洋室の真ん中に、大きなダブルベッドが鎮座している。
眠るための部屋だ。
備えつけのクローゼットとベッドサイドのチェスト以外、他に家具はない。


奏介はまっすぐベッドまで突き進み、そこに私を横たえた。
ベッドが軋んで跳ねる感覚に反射的に目を閉じ、再び開いた瞬間、ちょっと性急に唇が重ねられる。


「んっ……」


鼻から抜ける声を漏らしながら、私は目を伏せる。
覆い被さってくる奏介の首に、両腕を巻きつけて抱き寄せ、私を追い求める彼の舌の動きに必死に応えた。
長く艶かしいキスを終えて離れた奏介の唇が、濡れているのを下から見上げ、ドクンと心臓が沸くような音を立てる。


「まったく……七瀬、君は」


奏介が私を跨いで膝立ちになり、もどかしげにネクタイを解く。
昼間オフィスで会った時の、クールで真面目な弁護士の顔に、今は確かに欲情した男の色気を匂い立たせている。
そんな奏介を見ていると、私の胸は限界を超えて高鳴ってしまう。


「遠慮なく俺を煽ってくるな。おかげで俺は、いつも君に夢中にさせられる」


目の下をほんのりと赤く染めた奏介が、シュッと音を立ててネクタイを引き抜いた。
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