外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
口に手を当てて先輩の言葉を繰り返す私の横で、「サラリーマンでイケメンじゃないなら、例のお義兄さんでもなさそうね」と、なつみが余計な一言を挟んでくる。
キッと鋭い目を流して彼女を制してから、私は改めて先輩に向き直った。
「それで、その人は? あ、名刺とか」
考えてもわからないのだから、記憶を辿っていても仕方ない。
私の質問に、先輩はひょいっと肩を竦めた。
「それがね。『いらっしゃらないなら、結構です』って。名前も言わずにUターンしてっちゃって。近くに来たから、ついでに立ち寄ってみたってだけじゃないかしら」
そう言われて、私はなんとなく、カウンターの向こうに広がる総合エントランスを見渡した。
ちょうどお昼休憩真っただ中のこの時間、『この辺歩いてる分には特に目立たない、普通のスーツ姿のサラリーマン』は、至る所でうようよしている。
誰だろう?
心当たりはまったくないけど……。
「名刺も残していかなかったんだし、気にしなくてよくない? よほどの用があるなら、また来るわよ」
先輩はそう言って私の肩をポンと叩き、入れ替わりでお昼休憩に入るために、バックオフィスに戻っていった。
「いってらっしゃい」と背を見送った後は、私もそれ以上気にせず、午後の業務に就いた。
キッと鋭い目を流して彼女を制してから、私は改めて先輩に向き直った。
「それで、その人は? あ、名刺とか」
考えてもわからないのだから、記憶を辿っていても仕方ない。
私の質問に、先輩はひょいっと肩を竦めた。
「それがね。『いらっしゃらないなら、結構です』って。名前も言わずにUターンしてっちゃって。近くに来たから、ついでに立ち寄ってみたってだけじゃないかしら」
そう言われて、私はなんとなく、カウンターの向こうに広がる総合エントランスを見渡した。
ちょうどお昼休憩真っただ中のこの時間、『この辺歩いてる分には特に目立たない、普通のスーツ姿のサラリーマン』は、至る所でうようよしている。
誰だろう?
心当たりはまったくないけど……。
「名刺も残していかなかったんだし、気にしなくてよくない? よほどの用があるなら、また来るわよ」
先輩はそう言って私の肩をポンと叩き、入れ替わりでお昼休憩に入るために、バックオフィスに戻っていった。
「いってらっしゃい」と背を見送った後は、私もそれ以上気にせず、午後の業務に就いた。