扉の向こうはいつも雨
「私の本性だってこんなもんじゃないです。」

「それは怖いな。」

 言葉とは裏腹に少し嬉しそうと思うのは、そう思いたいからだけじゃない。
 きっとずっと思っていた通りの人だ。

「そうですよ。怖いですよ。」

「子どもに負けるなんて男が廃るよ。」

「子どもじゃありません。
 もう20歳です!」

「まだ20歳になったばかりでしょ?」

「そういう宗一郎さんはいくつなんですか?」

「27。」

 顔を上げた宗一郎さんがわざとかしこまった風に言った。

「誕生日会でもしましょうか。」

「だから子どもじゃありません!」

 睨んでみせて、それから2人で吹き出した。
 誕生日会なんて場違いで、ただの戯言で。
 説明のつかない間柄なのは変わらない。

 なのに……。
 やっぱり宗一郎のことが愛おしかった。






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