無題 〜奇跡の7つ子〜
第3幕

8:♣推測♣

私は、今、部屋の机に向かって、ペンを走らせようとしている。だけど頭の中では、違うことを考えている。



秘鳴達は、買い物に行っているから、この家には、私しかいない。

静かな部屋で、カリカリカリカリペンが走る。




私が、この世界に来て、一週間が経った。



みんなと生活して、観察した結果、ある事が、判明した。


それは、

“密羽 秘鳴は、能力者である”

という事。


前にも、その可能性があったのだが、その後何も無いように、家に帰って生活をしていたから、可能性は、低いと思っていたのだが、


昨日の、みんなの会話が気になっている。




夕食後、愛鳴と秘鳴は、言い争っていた。


『なんで、お前は、そんなにみんなの情報を知ってるんだよ!』

『どーでもいいでしょ!兄さんには、関係ないし!』

『それにさ、“遅鳴と壱鳴は、知ってそう”だけど、ほかの家族は、知らないんだぜ?それは、ちょっと酷くねーか?』

『兄さんは、知らなくていいでしょ!』




つまり、
秘鳴は、能力者で、そのことは、家族には、秘密にしているが、家族の中でも、壱鳴と遅鳴は、知っているということだろう。


でも、なんの能力なんだ?




カリカリカリカリと、私は、課題を進める。(宿題)




情報……

目の色……

髪の色……


サイバーテロ?



「一体、なんなんだ?」


「なーに、話してるの?」



突然、後から声がした。


私は、とっさに振り返る。


「ひ、秘鳴!」


「どうしたの?そんなに驚いて。」


無邪気な顔を見せ、笑っている。


「い、いつ入ってしたの?」


「一分ぐらい前から?」


なら、大丈夫か…


「どうして?」

「ううん。何でもない。ところで、どうしたの?」


部屋にわざわざ来た理由は、


「あぁ、夕食までまだ時間があるから、私の秘密の部屋に行かない?」


「秘密の、部屋?」



――秘密の部屋――?
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