無題 〜奇跡の7つ子〜
「それでは、役柄を決めます。」

しばらくして、

*シンデレラ…
*王子…
*フェアリーゴッドマザー…アリス
*トレメイン夫人…ウサギ
*ドリゼラ…とーな
*アナスタシア…詩鳴
*郵便屋…モブ1
*大臣…遅鳴
*国王…架鳴
*大公…壱鳴
*お姫様…卯月
*お姫様…如月
*お姫様…皐月
*お姫様…弥生
*町娘…P子
*町娘…B美
*町娘…D代
*町娘…C沙
*町娘…A江


まぁ、10分程度で、粗方は、決まった。

驚いたのは、推薦で出た、密羽家のみんな。


まぁ、顔もイイし、演技もそこそこうまい人ばっかだから、推薦されるのは、無理もない。

だけどなんで私とウサギまで、推薦されなきゃいけないの?


私は、そう言いながら、黒板に、名前を書いていた。

そして残りは、シンデレラと、王子。


「シンデレラ役と、王子役をやりたい人は、いませんか?」

……いないよね。

一番大事な役だもの。


「推薦でも構いません。」


そう言うと、みんな、ぎゃあきゃあ手を挙げだした。

そんなに推薦したいの?

「シンデレラ役は、秘鳴さんがいいと思います。」

「賛成!」「さんせー!」

秘鳴は、しょうがないなぁ、という顔をしていた。


「では、シンデレラ役は、秘鳴ということで、王子様役は、誰がいいですか?」

さっきとは、うって変わり、誰も手を挙げない。

その時、

スッと、手を挙げたのは、とーな


「僕は、愛鳴兄さんが、いいと思います。」

とーなは、そう言い放った。

何か、覚悟を決めた顔をしていた。

とても、真剣だったから。


「……なぁんで、俺なの?とーーなぁ?」


少し空気がピリッとした。

みんなの表情が変わった。


「……だって、密羽家みんな出てるのに、兄さんだけでないなんて、ずるいじゃん?」


ニコッと笑って言った。


「…んーーー…そっかぁ、俺だけやらないなんてずるいもんなぁ…いいよ王子様役やってやるよ」


なにか、悔しそうな、残念そうな、でも、嬉しそうな顔をしていた。


「では、王子役は、愛鳴さんということで、よろしくお願いします。」

「私が、台本を書きますので、来週から、練習をします。」



こうして、私は、緊張した、話し合いを終えた。


白と黒が無事、話し合いを終えたのは、「奇跡」だと、誰もが思った。

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