無題 〜奇跡の7つ子〜

20:♣どうなったの?♣

目が覚めたら、上も下も右も左も前も後ろもわからないほど、真っ白な部屋にいた。

私は、起き上がった。

「やぁ、起きたかい?」

声をかけてきた人は、真っ白で綺麗な男の人が、だった。

どこかで、この人を見たことがある。

どこでだっけ?

「君は、いつもボロボロだな。」

いつも…

「今回は、仲間に裏切られたのか…」

今回は?

ナカマに?

ウラギラレタ?


「あ…ああ………ああああああぁぁぁ…あああ……ぁぁぁ…」


私は、泣き叫ぶ。


綺麗な人は、優しく私を抱きしめてくれた。

お兄さんみたい。

私は、次第に落ち着きを取り戻す。


「ありがとうございます。……すみませんが、お名前を聞かせていただいてもよろしいですか?」

綺麗な人は、キョトンとする。


「さすが、ムネモシュネ。
僕の名前は….….….….….…」

ん?どうしたの?

「僕の名前は、ジュピター。よろしく、ユピテル!あと敬語は、とってね♥」

ジュピター….…木星?

「はぁー。よろしく。ジュピター。私の名前….…え?なんで、私の名前を知ってるの?」

さっき、ユピテルって….…

「…(賢いのは、変わってないな…)まぁまぁ、で?君は、仲間に裏切られた。どうするの?」

こいつ….…

「私は、どうもしない。ただ、ウサギのありのままを聞くだけ。」

「それで何になるの?君は、気づいているだろ?あいつが、マッドが、来ているってことを。マッドは、強い。たとえ君が、能力者であったとしても、君は、“足りない”から、マッドには、負けるだろう。」

足りない?

マッドには?

「待って、ジュピター。マッド“には”ってどういう意味?」

「そこは、また後で。さぁ、どうするの?ユピテル。ウサギは?アリエルは?マッドは?どうやって君は、助ける?倒す?」

….….….….….….…

「私には….….今の私には、何もすることが出来ない。だから、今のわたしにできることを精一杯するの!!言葉で、頭で、能力で、すべてを駆使して、マッドを倒して、ウサギとアリエルを、仲間を助けるの!!」

そう。

全てを使って、ウサギとアリエルを助けるの!

「そんなこと出来ないだろ?」

「何言ってるの?ジュピター。いつ、誰が、どこで、出来ないと決めたの?」

「決まってないけど」

「決まってないなら、私が、出来るっていうことを、示す!出来ないと私も思ってたけど、信じて、出来ると信じれば、出来るの!!だって、ただ見ているのは、嫌なんだもの。信じなければ、やらなければ、何も変わらない!!」




ユピテルは、一生懸命に、熱く、心から、それを語った。

僕には、心打たれるものが沢山あった。


あぁ、また、君に負けちゃったね。


「そうでしょ?ジュピター!」

ユピテルは、ニカッと眩しい笑顔を向けた。

君は、全知全能の、僕よりも強いんだね。



「そうだね。ユピテル。」


辺りがチカチカしだした。

「もう時間だ。最後に教えてあげるよ。
ウサギとアリエルの、他にも、長男くんとフェアリーが、危険。それと、マッドは、いつも君を探しているよ。安心して、僕は、君の味方だよ。あ、あと…」

「 」

そこで、途切れた。

最後のあの言葉は、なんだろう?


バチッ!

ここ?どこ?

白くて、ベッドの上?

病院?
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