冷たい蜂蜜
薄暗い廊下を歩いていると所長に会った


所長は珍しいものを見たかのような目で

「あなたは…確か…大本さん?」

私は「はい、大本です。」と答えると、

所長はにっこり微笑み

「あまり見かけない子だったからわからなかったのよ、綺麗ね」

「いえ、ありがとうございます。所長もお綺麗です」


「あら、嬉しいわ。私今から行かなきゃいけないから行くわね。」


と所長は少し表情が暗くなった。


「はい、お気を付けて!」


所長は小さく手を振り行ってしまった。



雰囲気が支部長に似ていると思った。


所長と支部長は友達だって噂が流れていたのを思い出した。



私は急ぎ足でいつものデスクに向かった。



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