お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
恋人でもないのに、なんで私が彰人の女性関係を心配しなければならないのだ。

この同居生活は彼との戦いであり、そこに甘さは必要ない。

彰人としては、私が彼に惹かれ始めているという事実が欲しいのであろうけど、そうはいくかと、大きな手を頭から払い落とした。


「悪いけど、家で彰人を待ったりしないよ。私も飲みにいくから」


すると彼は急に真顔になり、「誰と? 男か?」と低い声で聞いてくる。


今度ニヤリとするのは私の番だ。

「そうだけど、なに? 気になるの?」とその顔を覗き込むようにしたら、嫌そうに目を逸らした彼が「別に……」と口を尖らせた。


私を惚れさせてから振ると企んでいる彼なので、やきもちを焼いているわけではないだろう。

けれども私の交友関係に嫉妬して、むくれているようにも見える態度が可愛くて、私は仕方ないなと頬を緩めて打ち明ける。


「ただのチームの飲み会だよ」


先月の営業成績は、私の所属する三班が一番だった。

この前の全体会議で部長からお褒めの言葉をいただいて浮かれた私たちは、祝勝会を開こうという話になったのだ。
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