お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
そして私が音程を揺らして歌えば、『下手くそ』と言って笑うことだろう。
勝手に想像したことに対し、なんて意地悪な男なんだと非難しかけた私だが、その直後に、なにか違うと首を傾げる。
私がカラオケのなにが苦手かと言えば、自分の歌の笑いにも変えられない中途半端な下手くそさであり、一緒にいる相手に気を使わせてしまうのが嫌なのだ。
そう考えれば、『織部さんのために一緒に歌ってあげよう』と気遣ってくれる成田さんより、『下手くそ』と遠慮なく嘲笑う彰人の方が、私の気持ちを楽にしてくれそうな気がした。
成田さんが「この曲はどう?」とリモコンの画面を指差して私の意見を聞いていた。
けれども想像の中の彰人に気を逸らしていた私は、返事とは違う言葉を呟いてしまう。
「彰人……」
無意識に彼の名を口にしてしまい、それからハッと我に返って隣を見る。
すると成田さんが目を瞬かせていた。
「ごめん、よく聞こえなかったけど……飽きたって言ったの?」
「えっ!? あ、あ〜そうです。ちょっとだけ飽きて……い、いえ、楽しいですよ。飽きたんじゃなくて、ええと……」
勝手に想像したことに対し、なんて意地悪な男なんだと非難しかけた私だが、その直後に、なにか違うと首を傾げる。
私がカラオケのなにが苦手かと言えば、自分の歌の笑いにも変えられない中途半端な下手くそさであり、一緒にいる相手に気を使わせてしまうのが嫌なのだ。
そう考えれば、『織部さんのために一緒に歌ってあげよう』と気遣ってくれる成田さんより、『下手くそ』と遠慮なく嘲笑う彰人の方が、私の気持ちを楽にしてくれそうな気がした。
成田さんが「この曲はどう?」とリモコンの画面を指差して私の意見を聞いていた。
けれども想像の中の彰人に気を逸らしていた私は、返事とは違う言葉を呟いてしまう。
「彰人……」
無意識に彼の名を口にしてしまい、それからハッと我に返って隣を見る。
すると成田さんが目を瞬かせていた。
「ごめん、よく聞こえなかったけど……飽きたって言ったの?」
「えっ!? あ、あ〜そうです。ちょっとだけ飽きて……い、いえ、楽しいですよ。飽きたんじゃなくて、ええと……」