お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
その後に、「他にも色々と穴場の店を知ってるんだ。織部さんを連れていきたい」と口説きにかかる。


「あ……」


『はい』と即答できない私は、この一杯を飲む間に考えなければとまた悩み始めた。


どこまで考えたんだっけ?

そうだ、彼氏ができたら、彰人がすんなりと同居を解消してくれるかというところまでだ。

彰人と暮らしていなければ、何の問題もなく交際を始められるから……。


カクテルをひと口飲んで、私は首を傾げた。

味に問題があるのではなく、同居の解消という言葉に引っかかりを感じたのだ。

タワーマンションの彰人の家から出て、元のアパートに戻る自分を考えれば、なんだかもったいない気がして……。


初めは迷惑なことを言いだす、面倒くさいお坊っちゃまだと思ったし、喧嘩の絶えない毎日で、彼の俺様な言動にはムッとする時もある。

けれども、楽しいこともあるのだ。


一緒にテレビのバラエティ番組を見ていて、同じところで吹き出したら、ひとりの時より心が弾む。

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