お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「なんで私が騙されやすそうな女なのよ……」とブツブツと文句を言いつつ店内に戻る。

彰人は、成田さんが私をベロベロに酔わせて、ホテルに連れ込むと危ぶんだのだろうか?

そんな人じゃないのに……と思った私は、驚いて目を見開いた。


成田さんが白ワインをボトルごと注文し、水のようにゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいるからだ。

私ではなく彼が酩酊状態になるのではないかと心配し、慌てて席に戻ると「そんなに飲んで大丈夫ですか?」とその顔を観察した。


頬はほのかに赤く色づいているけれど、他にいつもの彼との違いは見られない。

「平気だよ。俺、酒で記憶なくしたりしないから。アルコールに強い体質なんだ」と答える声はしっかりしていて、酔っ払っているという感じはなかった。


「それなら、いいんですけど……」


そう答えながらも、手酌でグラスにワインを継ぎ足している彼に不安を拭えずにいたら、「電話の相手は、ルームメイト?」と問いかけられた。


「あ……そうです」


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