お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
それに加えて、成田さんと付き合ってみようと決めたばかりである。

信じなくてどうするのだ。


気を取り直して笑顔を作り、まだほとんど減っていないカクテルに私も口をつける。

コクリと喉に流せば、赤ワインの酸味と渋みをジンジャエールの甘さが緩和してくれて、美味しいと感じた。

電話の間に炭酸はすっかり抜けてしまって、それが残念に思うくらいで、このカクテルに特におかしな点はない。

それなのに、もしこの中に睡眠薬でも入れられていたなら……と頭が勝手に想像し、成田さんがよからぬことを企んでいたらどうしようと不安になった。

そんなことを思うなんて、私は一体どうしてしまったのか……。


自問した結果、彰人に変な心配をされたせいだと決めつける。

怒っているような心配しているような、眉間に皺を刻んだ彰人の顔が、頭から消えてくれない。

私は成田さんを信じているし、これから交際をスタートさせようとしているところなのに、邪魔しないでよと、口に出さずに文句をぶつけていた。

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