お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
成田さんと付き合ってみるという結論を出しても、頭の中の彰人に妨害されてなかなか口に出せず、他愛ない会話をしながら数十分が経過して、私のカクテルグラスが空になった。

時刻は零時十五分。

そろそろここを出て駅に向かわないと、終電に乗り遅れてしまう。


「成田さん、私、決めました。お付き合いをーー」


交際を了承する返事をしなくてはと、ついに口を開いたが、それは「え?」という驚きの声に変わる。

テーブルに頬杖をつき、それまでは仕事のことや最近観た映画の話などを普通にしていた彼だったのに、急にパタンとテーブルに突っ伏したのだ。

「飲み過ぎた……」と呟いたかと思ったら、スースーと寝息を立て始める。


「起きてください。ここで寝られたら困ります!」


慌てた私がその体を揺すったら、顔をこっちに向け薄目を開けてくれたけど、「ごめんれ」と答える声は呂律が回っていない。


「酔っちゃっれ。ひとりれ帰れないかも」


アルコールに強い体質と自信ありげに言ってたのに、突然なんでこうなるのよ……。
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